- コンセントにアースを付ける場所がない
- コンセントの左側の穴はアースと同じって聞いたことがある
- コンセントにアースがない場合、左側の穴(接地側)に付けたらOKなのかな?
こんな疑問にお答えします
- アース端子がない場合はコンセントの左側の穴(接地側)に付ければOK?
- コンセントにアースが無い場合の対処法
本記事を書いている僕は、第三種電気主任技術者の資格を所有。
電気設備を管理する会社に15年以上勤めており、今までの経験と知識を元に記事を書いてます。
コンセントにアースがないとアース線が付けれませんよね、、、
その対処法として、「コンセントの右側の穴(接地側)にアース線を付ければOK!」という方がおられます。
右側の穴でOKなら取り付けれないことが無いよね!
実はその対処法は間違いで、コンセントの右側の穴はアースの代わりにならないよ!
え?ならないの??
本記事では、コンセントの右側の穴がアースの代わりになるのか?分かりやすく解説していきます。
最後に、アース線が無い場合の対処法も紹介してますので、そちらもご参考下さい。
コンセントにアースがない場合、コンセントの左側の穴(接地側)にアース線を付ければOK?
コンセントの左側は、接地側と呼ばれ「大地(地面)」と繋がっています。
そのため、「アースがない場合はコンセントの左側を使えばOK」と言われたりしますが、これは間違いです!
アースの代わりにならないばかりか、漏電遮断器が動作しなかったり、感電する危険まであります。
アースと同じで大地と繋がっているのに、代わりにならないの?
同じアースでも目的が違う【機器接地と系統接地】
- アース端子:機器接地(D種接地)
- コンセントの左側:系統接地(B種接地)
アース端子とコンセントの左側(接地側)は、どちらも保安用接地に分類されるので、アース(接地)という意味では同類です。
※保安用接地=人間および電気関連設備機器の安全確保を目的に施工される接地
ですが、アース(接地)の目的と種類が異なります。
アース端子は機器接地と呼ばれる接地で、電気器具の外箱に接地を施し、感電防止が主な目的です。
対して、コンセントの左側は系統接地と呼ばれる接地になり、混色防止が目的の接地になります。
✔混色とは?
電柱側の事故等で、低圧側(家のコンセント等)に6600Vの高電圧が流れることを混色といいます。
想像は容易かとおもいますが、低圧側に高圧6600Vが流れると非常に危険です。
家電は潰れるし、感電による命の危険や電気火災も起こりえます
混色が起きた時に、低圧側に高圧が流れないように系統接地が施されています。
これがコンセント左側の接地の役割です。
機器接地と系統接地、それぞれの目的をまとめると、以下のようになります。
✔機器接地の目的
- 人等に対する感電を防止する
- 漏電による火災を防止する
- 保護装置(漏電遮断器、漏電警報器)を確実動作させる
✔系統接地の目的
- 変圧器内部の混色事故により低圧側の電路に高い電圧の侵入を防止する
こんな感じで、アースの目的が異なります。
目的は違うかもだけど、アースに代わりないんでしょ?
無いなら付けておくほうが良くない?
それがコンセントの左側にアースを取り付けるとデメリットがあるんだよ
コンセントの左側にアース線を付けた場合のデメリット
- 漏電遮断器が動作しない
- 配線が誤っていると感電する
この2つになります。
漏電遮断器が動作しない
コンセントの接地側にアース線を繋げると、家電が漏電したときに漏電遮断器が動作しなくなります。
漏電遮断器は、電気の入りと出の差を検知して動作する仕組みです。
入りが”10″なのに出が”5″になった場合、残りの”5″がどこかに漏れていることになるので、動作する!という感じ。
しかし、接地側にアース線を繋げると、漏電した電気が接地側に流れることになるので、漏電遮断器が電気の差を検知できなくなります。
そのため、家電が漏電しても漏電遮断器が動作してくれなくなります。
漏電遮断器が動作しなかったらアース線を付ける意味がないじゃん….
接地側にアース線を付けても、漏電遮断器を確実に動作させる!という目的は達成できないので…。
アース線を繋げる場所が無くて、コンセントの接地側に取り付けても意味がありません。
配線が誤っていると感電する
コンセントは電池のように極性が決まっていないので、逆差しが可能です。
電源プラグをどちらに差しても家電が動くように、屋内配線を誤って逆に配線しても問題なく使えてしまいます。
確かに!どっちの向きに差しても動くね
そのため、普通に使っているだけでは、屋内の配線が逆に配線されていても気が付きません。
もし逆に配線されていると、非接地側(100V)とアース線を繋げることになるので、非常に危険です。
✔家電が常に電気を帯びている状態になる
機器接地というものは、家電の筐体と大地を繋げます。
こうすることで、万が一漏電しても大地に電気を逃がせるので、感電の防止が可能です。
ですが、上記のような”配線が逆になっているコンセント”にアース線を繋げると、非接地側(100V)と家電の筐体を繋げることになるので、家電が常に電気を帯びている状態になってしまいます。
触れば即感電する家電になってしまうよ…
コンセントの接地側は、アース端子の代わりになりそうですが、目的が違っていて代わりにはなりません。
そればかりか、感電や保護装置が働かなくなるデメリットがありますので、絶対に接地側にアース線は繋げないで下さい。
コンセントにアースが無い場合の対処法
- アース付コンセントを増設する
- アース線を延長してアース端子に接続する
アース線を付ける場所が無い場合の対処法は、「アース付きコンセントを増設する」か、「今あるアース線を延長して近くのアース線に取り付ける」ことになります。
詳しくはこちらの記事をご参考下さい。
アース線を延長するやり方が、費用も安く行えるのでオススメです。
✔動画でも解説しています
まとめ|コンセントにアースが無い場合は左側の穴に繋げればOK??
今回は、コンセントにアース端子が無い場合、コンセントの左側に繋げれてもOKか解説しました。
コンセントの左側(接地側)にアース線と繋げることはNGです。
アース端子とコンセントの接地側では、接地(アース)の目的が異なります。
- アース端子:機器接地(D種接地)
- コンセントの左側:系統接地(B種接地)
コンセントの接地側にアースを取り付けても、皆さんが求めている感電防止には繋がりません。
そればかりか、逆に感電に繋がったり、保護装置である漏電遮断器が動作しなくなる危険がありますので…。
アース端子が無いからといって、接地側にアース線を繋げることは絶対に止めて下さい!!
まじで危険です
ということで今回は以上になります。
この記事が参考になると嬉しいです。